日系レスラー、誰がガチで誰がギミック?

日系レスラー、誰がガチで誰がギミック?
日系レスラー。昭和プロレスの本場アメリカで、日本から移住してきた人をルーツとするレスラーである。彼らは、多くは田吾作スタイルで悪役に徹してリングを盛り上げ金を稼いだ。しかし、ファンタジーの世界は、その経歴すらも怪しい日系レスラーがいる。

冒頭の画像だが、まず、それが誰だかわかるだろうか。

全員分かる人は、昭和プロレス通である。

本題に入る前に、そこから明らかにしていこう。

上段左端。

グレート東郷

これはもう、よくも悪くも、日本のリングにもっとも関わりが深かったレスラー、グレート東郷である。

その右は、グレート東郷と絶縁した日本プロレスの幹部たちが、ブッカーとしたミスター・モトである。

ミスター・モト

現役レスラーとしてはロスで活躍し、WWAとつながりの深かった日本プロレスとしては、その関わりの深さはグレート東郷と双璧かもしれない。

上段右端は、WWWF世界タッグ選手権にも輝いた、ミスター・フジとプロフェッサー・タナカである。

ミスター・フジとプロフェッサー・タナカ

ミスター・フジは、全日本プロレスで、日本陣営に入ったり、外国陣営に入ったりした。

プロフェッサー・タナカは、ジャイアント馬場のPWFヘビー級選手権に挑戦したり、国際プロレスの日本リーグ争覇戦でジャンボ鶴田に反則勝ちして準優勝したりしている。

下段左端は前からキンジ渋谷、後ろがミツ荒川である。

前からキンジ渋谷、後ろがミツ荒川

キンジ渋谷は、マサ斎藤と組んで、ジャイアント馬場、ジョン・トロス組と金網デスマッチを戦っている。

真ん中はデューク・ケオムカである。

デューク・ケオムカ

ヒロ・マツダとのコンビで、エディ・グラハム、サムスティムボート組と、フロリダ直輸入のNWA世界タッグ選手権を満員の川崎球場で戦っている。

漫画『ジャイアント台風』では、ジャイアント馬場がフリッツ・フォン・エリックと闘う『オデッサの惨劇』で参謀についている。

地面を掘って顔を埋め、その上をデューク・ケオムカの運転するジープが走るというシーンがあった。

ジャイアント台風

それが架空の話であったことは、すでに触れた。

乗り物酔いをする母親を気遣って、電車で東京見物をしたジャイアント馬場のエピソードは泣けてくる『ジャイアント台風』
『ジャイアント台風』といえば、『少年キング』に連載されていた、ジャイアント馬場の自伝の体裁をとった昭和プロレス…

しんがりは、ハロルド坂田(トシ東郷)。

ハロルド坂田

日系レスラーとしては大御所と言っていいだろう。

力道山をスカウトし、映画俳優としても活躍。

トレードマークの山高帽は、アントニオ猪木が旗揚げした新日本プロレスの初期のシリーズに来日した時にも使っていた。

プロレスラーであるから、発表されているプロフィール自体、確かであるという保証はないが、少なくとも日系がギミックであると言われているレスラーが、この中で一人だけいる。

さて、それは誰か。

ギミック日系でも深いリングネーム

答えは、プロフェッサー・タナカである。

プロフェッサー・タナカは、本名がチャールズ・カラニ・ジュニアといわれている。

ハワイ生まれのフィリピン系、ポリネシアン、ミンダナオ島、タイの山岳民族など出自は諸説あるが、いずれにしても日系人ではない。

日系人は、アメリカでは悪役になるが、自分のルーツの国では、日本陣営に入って善玉を希望することが多い。

プロレスは仕事であっても、そこは人間だから、祖国では日本人側としてリングに立ちたいという気持ちを日系レスラーはみなもっているのだろう。

実際には、団体の事情で日本陣営に入って外人と戦うこともあるし、外国陣営に入って日本人と戦うこともあるが、プロフェッサー・タナカだけは、1度も日本陣営にたたなかった。

ただし、プロフェッサー・タナカ、というリングネームと、出身はヒロシマ・ジャパンというギミックは深い。

当時、移民の中で、いちばん多かった姓は田中といわれている。

そして、日系移民の中で一番多いのは、実は広島県だった。

広島というと原爆だが、そちらはミツ荒川が使っているので、もうひとつの広島ギミックを使ったわけだ。

ある日系人、ではなく、日系人の象徴ということを誇示する深いリングネームだったのである。

前述のように、プロフェッサー・タナカは、全日本プロレスに初来日して、いきなりジャイアント馬場のPWFヘビー級選手権に挑戦し、日本リーグ争覇戦という“日本人のリーグ戦”に出て準優勝した。

おそらく、過去に来日した日系レスラーの中では、もっとも格上の扱いだったのではないだろうか。

以上、昭和プロレスを盛り上げた重要な役割を担った日系レスラーについて懐古してみた。
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コメント

  1. リゴレットさん より:

    三度目の、お邪魔です。
    G東郷は力道山時代にアメリカン・レスラーのブッキング・エージェントとしての功績が大でしたが、力道山のWWA選手権盗りの際、組織に納める保証金を実は1万$の所を5万$と偽り、多額の金をポッケに収めたと言う、トンデモ逸話がございますね。
    ハロルド坂田さんは、1948年ロンドン五輪の重量挙げヘビー級の銀メダリストで、S・コネリー主演の007・ゴールドフィンガーに、従者のような殺し屋のオッド・ジョブ役で、出演しておられましたね(笑)。
    ケオムカさんは、1968年の日プロの第10回W・リーグ戦に日本側に助っ人参戦され、卑劣な悪役では全くなかったです。

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